東京都マンション管理士会
板橋支部
【それって「民泊」??? 急ぎ、規約改正等の対応を!!!】
◆事例
管理組合の理事会ではいろいろなことが話し合われていますが、ここ4~5年以降、急に増えた問題に「民泊」に関連する事項があります。
◇Aマンション(約170戸)の理事Kさん(50代男性)
…夜11時過ぎに帰ってきたとき、大きなキャリーバック
を引いた4~5人の見知らぬ人が玄関で集合ポストを見て
いた。
やがて一つのポストのダイヤルを紙切れを見ながら廻
し、中から何か(部屋の鍵らしかった)を取り出しエレ
ベーターに乗り込んでいった。声をかけようかと思った
が、日本語での会話をしておらず、夜中で多少おっかな
くてそのまま見過ごしてしまったが、民泊の可能性があ
る。
◇Bマンション(約60戸)の理事Lさん(80歳女性)
…隣の部屋の区分所有者が数年前いなくなり、ここ2~3
年見知らぬ人たちが出入りしているのを見る。 <大山遊座商店街で>
先日も夜中に廊下で話し声が聞こえたが、日本語では
なく、怖くてドアを開けて声をかけることはできなかった。翌日、廊下にゴミと段ボール箱がたくさん捨ててあった。
◇Cマンション(池袋の近く、約80戸)の理事Mさん(70代男性)……ある部屋の所有者が不明で、訪ねて行ったらドアが閉まっておらず、声をかけたが誰も出てこない。中をのぞいたら女物の靴が2~30足くらい脱いであった。靴は派手なもので、OLが履くようなものではない。この部屋からは、夕方以降になると派手な衣装をした女性が出ていくが、衣装は日本風ではない。
◇Dマンション(約70戸)の理事Nさん(60代)……ペット禁止にかかわらず、シベリアンハスキーの犬を飼っている住戸があり、注意をしに行ったところ、肩にタトゥ―を入れた若者が出てきて、片言の日本語で「犬は人から預かっている」「自分は所有者ではなく、その友人です」「所有者は、今どこにいるかわからない」等と言う。ペット禁止を伝え、所有者の連絡先を管理組合に伝えるよう依頼しておいたところ、犬はいなくなったが、所有者は不明のままである。なお、管理費等は今のところ銀行引落しされている。
◇このような、民泊やシェアハウス、不明朗な利用関係と疑われる事例は、この記事を読まれている皆さんのマンションでも起きていませんか?
◆政府の対応
政府は2018年6月15日から住宅宿泊事業法を全面施行し、分譲マンションにおいても民泊が実施されうることになります。これに先立ち、住宅宿泊事業の届出は2018年3月15日から開始されます。いったん届け出が行われると、後から禁止処置を取っても、届出者との間でトラブルになることが懸念されます。
民泊禁止を考えている管理組合においては、早急に規約改正し、民泊禁止を明確にしておくことが求められます。規約改正が間に合わない場合は、とりあえず理事会で民泊禁止を決議しておかれることが必要です。
2017年8月26日改正の標準管理規約では、民泊禁止の規約は以下のようになっています。
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用
途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む
同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。(下線部改正箇所)
◆今、管理組合が対応すべきこと
民泊のほか、シェアハウ・短期賃貸住宅・グループホーム・休息宿泊施設といった問題もあり、管理組合にはそれらへの対応も求められます。区分所有者との関係がはっきりしない居住者には、使用細則の「居住者届」の提出を求めることが効果的ですが、細則に規定がなければ設ける必要があり、「居住者届」の様式も適切なものか検討しておく必要があります。マンションが管理不全に陥らないよう、手立てを尽くしましょう。
◆まず、ご相談を
規約・細則の改正や管理組合の運営についてお悩みでしたら、まず私達マンション管理士にご相談下さい。
文責:酒井